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「マーケティングされるこどもたち」を考える。
R25の石田衣良さんのコラム(4/21-4/27号)を読んで「?」となった。内容はと言うと、「企業の商業主義は行き過ぎている。子供に向けたマーケティング攻勢はいい加減にやめていただきたい」というような内容だ。

でも、その論旨にはかなり疑問を感じる。



子どもは本当に無力なのか?

まず、「子供はマーケティングの前に無力」なのかと言うと決してそんなことはなく(息子とその友人達の消費行動を見る限りは)、非常に多様な選択肢の中から自分なりの価値観で購入する物を選んでいる。

「子供はマーケティングの前に無力」どころか、(彼らを観ていると)企業が商品のマーケティング価値道を通じて様々なプロモーションを行い、その結果(うまくいけば)利益を獲得していると。と、いうことをある程度理解したうえで、消費者として損をしないように考えながら行動しているように見える。

そもそも、「お小遣いという個人財産」を有している子供がどういった消費行動をしようともとやかく言うべきではない。
と、言うかそれを主体的・自覚的に考え、できれば賢い消費者としての独り立ちすることが望ましいと考えるなら、むしろ子供ならではの消費経験を積ませることにはとても意味があるように思う。もちろん失敗体験もあるだろうが、それも含めて学習機会ではないかと思う。


だいたい子供にとって月数百円から数千円をどう使うかというのは大変重要な問題で、月の中で優先順位を考えるだけでなく、効果商品を将来買い込むためには計画的に月々残ったお小遣いを積み立てるなどそれなりの計画性および自制心が必要とされる。

だから、おのずと「お小遣いはいい加減には使えない」。故に企業のマーケティング活動に対して無防備かつ無自覚ということは決してない。

「マーケティング=悪」は本当なのか?

あとそもそも「商業主義的な企業活動、マーケティング的な虚業、広告広報活動に子供を晒すべきではない」というのもおかしな主張だと思う。

そもそもマーケティングが適切に行われないと何が起こるかというと、「消費者にとって欲しくもない商品が大量に出回り不良在庫が積み上がり、その企業は撤退せざるを得ない」わけだから、駄目なマーケティングというのはまずあり得ないし、もしそうなると子供達が欲しいと本来思っている商品は子供達の手には届かない。

でも、当然そういった企業の市場からの撤退(※不良在庫の生産が継続すれば市場から撤退するほか無い)があれば、代替えとして他企業が進出してくるわけだし、そこでもスマートなマーケティング活動が行われない限り、撤退した競合企業と同様その企業も撤退せざるを得ない。

だから、マーケティングをやめろという物言い自体がものすごく矛盾している気がする。要するにマーケティングを仮に廃止して撤退した企業が出てきたとしても、結局それがリプレースされるというだけに過ぎない。


さらに「マーケティングに血眼になっている企業、特に無垢な子供に向けてさえ商業主義の虜のようになっている企業は醜いと思う」といった倫理的な側面に於ける主張だとしても、これも変だと思う。

なぜなら、その主張を受けて(世論的なマイナス評価は、企業活動全般への打撃になり得る)そのマーケティングをより巧妙=マーケティング活動そのものが見えにくいような方法を取るような企業が増えてくれば、そのマーケティングメッセージはより一層サブリミナル(この表現は比喩です。サブリミナル広告の効果は未知数。)なものになってしまい、結局石田さんの主張は企業のマーケティング活動を強化する皮肉な結果になってしまう。

それに、

いささかサブ的な議論としてですが、

「物語商品以外は余分」なのか?

という点についても違和感を感じる。つまり、「本来の物語(番組や連載ですね)よりもその周辺のグッズマーケティングが牽引しているマーケティング活動はおかしい」という主張。これも変だ。

なぜなら、例えば放送に関して言うと番組単体の利益(=DVDの販売等)ではそもそも地上波で子供が観る時間帯に番組を放映する(=無料提供)ことが困難なので(波代・制作費が、期待利益を大きく越えている)玩具メーカーなどマーチャンダイズの提携企業によるスポンサードがある訳で、これはビジネス構造の問題とも言える。

で、それが間違っているというのはそもそも何を基本にしているかということ(=視点の違い)に過ぎない。

物語という物は、必ずしも雑誌、書籍、ビデオパッケージなど媒体に焼き付けられた物が全てかというとそんなことはない。

宗教的物語にしろ神話的物語にしろその媒体は実に様々な形態を取っており、本が偉いとかビデオパッケージが偉いとか、そういう議論はとても次元が低い。

例えば小説等の原作がある場合でも、これは原作者が書籍出版時に二次使用等の条項にサインをすると思うのですが、だから言って、その重要度、付加価値は商品の利用者、消費者が判断する物ではないだろうか?

商品として世の中に流布する以上それの付加価値を判断するのは、それぞれの購買者であり(その総体としての)市場なのではないかと思う。


そもそも最初の連続国産テレビアニメ「鉄腕アトム」の時代からそのマーチャンダイズは始まっており、プロパティ(版権)管理は虫プロの重要な経営課題だったそうだ。

もし、表現者がより高度な、特にアニメ映画のような予算の掛かる表現を手掛けようとする場合そういったマーチャンダイズは避けて通れない。

しかももし物語をそういったグッズなど含めたトータルな市場で考えるとすれば版権使用物の適正な管理がなくては、その物語キャラクターや物語世界は商品として劣化をしてしまって、結果として救いがたいダメージを被ってしまう。

だから「マーチャンダイズ=悪」的な言い方にはとても浅薄な物を感じる。

「コマーシャリズム=悪」という見えない信仰

恐らく、その底辺には商業主義、営利企業、市場原理、資本主義に対しての不信感、違和感、抵抗感が色濃くあると推察するのですが、そもそもR25という営利企業が無料配布雑誌という収益モデル(=広告モデル)によって成立させている媒体に子供向けという限定はあれど反マーケティング論を書くなんて微妙だなあ..と思うのです。

商業主義と思い切りリンクした媒体で、(子供限定とはいえ)反マーケティングを語ることは可能なのでしょうか?
もちろん現象としては成立(笑)しているのですが、私はオピニオンと実体の乖離を感じてしまうのです。

子供に対してはマーケティングを行わない状態。それがどういったメカニズムによって今の日本で成立するのか?そもそもそういったことが必要なのか?あるいは長い目で見てそうあるべきなのか?は、この短い論考だけでは読みとれません。

息子とその友人達の消費活動を観ていると彼らはもっとしたたかでスマートではないかと思いますし、逆に「マーケティング活動に対して無力なロボトミー的子供」といった存在が実際問題としてあるのか?と、いうとそれははなはだ疑問です。
だって自分も子供の頃は少ない(これはいくらもらっても、きっと少ないのでしょう)お小遣いをいかに有効活用するかかなり頭を使いましたからね。


だいたい(たとえば)ひどい商品を嘘で塗りたくった販促活動で売り抜いたとしてもそういったメーカーは生存しづらいのが実状で、それは市場に於ける競争状態が前提である限り変わることはないと思います。それがマーケットでありマーケティングではないかと思います。

また、ユーザー(この場合は子供)に多大なストレスや違和感、不信感などを感じさせ、それこそ過剰すぎるメッセージに辟易するなどさせてしまったらそれも長期的には企業利益にはなり得ません。

実は、そういった総体としての顧客生涯利益の増大という視点まで考えると「商品名を大声でガナリ立てる」的な手法などはもはや陳腐化している訳で、よくできたマーケティングはもっとトータルな観点で顧客との息の長い付き合いを考えます。

仮構としての「無垢で純真な子どもたち」

貨幣とリンクした現代社会で無垢な子供=原始的自然にいる純粋な人間存在。なんていうのは仮構に過ぎないと思います。また、そういった仮構を保護すべきだという主張もとても眉唾的です。


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R25の石田衣良さんのコラム(4/21-4/27号)の内容をもう少し詳しく教えて頂けないでしょうか。
| | 2007/12/21 1:29 PM |
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こどもたち、と資本主義。
ブログ書籍化の調査をしていたら、面白い記事に出会ったので、ちょっと乗ってみたいと思ったので。 「マーケティングされるこどもたち」を考える。 この記事では、石田氏のコメントに対して、igulog氏(さん?)が反論する内容となってます。 R25の石田衣良さんの
| 小森さん | 2006/04/29 7:54 PM |

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